IBDPについて:現役DP生の日常

不定期更新。国際バカロレアについて現役生がぶっちゃけます。

【IBDP】 DP生の強敵、Extended Essay って何? 文系と理系の違いを聞いてみた。

DBどうも葉山です。

ついにゲームのデータ復元が可能ということを知ったので

勉強に集中するためにあんスタを暫くの間お休みすることにしました。

データが復帰しなかったらそれはそれで泣きますが、

おかげで読書や課題に使える時間が心做しか増えた気がします。

 

 

さて今回は久しぶりに教科・課題の内容まとめです。

その名も

Extended Essay (略してEE)。

おそらくDP1st year の皆さんはようやくその名前を耳に入れる機会が出てきたのでは、

くらいのタイミングだと思います。

葉山はテーマを二月くらいに決めて、って感じだったので。

 

先輩方にお話を聞くと、TOKと肩を並べる 強敵 と噂されるこのEE。

この記事では概要や大まかなスケジュール、実際に書いてみた感想などを中心に

EEの様々な情報についてまとめていきます。

 

 

 

そもそもEEって何?

DP取得に絶対に必要なレポート

 

国際バカロレアには、基礎6科目に加えて追加課題が3つあります。

一つはTOK、

hayamaibdip.hatenablog.com

 

一つはCAS、

hayamaibdip.hatenablog.com

 

そしてもう一つがEEです。(本記事参照)

「課題論文」(EE)では、IBの生徒が関心のあるトピックの個人研究に取り組み、研究成果 を4000語(日本語の場合は8000字)の論文にまとめます。これには「ワールドスタディーズ」の 「課題論文」として執筆するものも含まれます。

(EE指導の手引きより引用)

EEとは、IBDPコースを終了するために絶対にやらなくてはならない論文のことです。

一般の高校(?)における卒業論文みたいなイメージを持っていただくと

ある程度イメージできるのではないかな、と思います。

 

一般の高校がどれくらいのものを書くのかは(そもそも書くのか?)分かりませんが、

EEは日本語で8000字、英語は4000words で執筆します。

 

得点配分

コア科目のうち、CASは「やっときゃええで」精神で運営されているのですが、

TOKとEEに関しては得点がつきます

この得点というのは、Final Scoreに加点されるという意味の得点です。

 

IBDPの得点の付け方

 

ついでにここで解説しておきますね。

DPでは、各教科の評価課題は7点満点で評価されます。

よく教科の説明を書くときに「配点の〇〇%に加わります〜」

みたいなことを書いていると思うのですが、

あれは7点満点のうち、この課題が最終得点に何割影響するかを示しています。

生物のPaper 2を猛勉強していたのは、この割合が他と比にならないほど高かったからです。

よってなんやかんやあって6教科全て満点を取った人(オール7の人)は、

合計で42点のスコアを得ることになります。

 

そこにTOK、EEの加点方式が加わりまして、45点満点になる訳です。

 

TOK・EEの評価

 

TOK・EEは提出された展示やエッセイを元に四段階評価(A, B, C, D)されます。

この四段階評価の組み合わせによって3、2、1、0点が決まります。

「E」も存在しますが、Eが一つでもあったらDP不認定です。

ちなみに四段階評価のうち3を取るのであれば、

TOK、EEともに「A判定」あるいは「どちらかのみB判定」にする必要があります。

が、例年の点数分布を見てみますと、ほとんどの人が「2」だそうなので

葉山は2点追加にしたいと思いながら頑張って取り組んでいます。

 

教科の分け方について

 

教科の選択のしかた

EEでは使用できる科目を次のように定義しています。

 

1. 言語と文学:
 • カテゴリー1、2、3

2. 「言語の習得学」:
 • 「言語の習得学」
 • 「古典ギリシャ語」と「ラテン語

3. 「個人と社会」:

 ・「経営」

 ・「経済」

 ・「地理」

 ・「グローバル政治」

 • 「歴史」

 • 「グローバル社会の情報技術」

 • 「哲学」
 • 「心理学」
 • 「社会・文化人類学
 • 「世界の宗教」

4. 「理科」

 • 「生物」

 • 「化学」

 • 「コンピューター科学」
 • 「デザインテクノロジー」
 • 「物理」
 • 「スポーツ・エクササイズ・健康科学」

5. 「数学」:

 • 「数学」

6. 「芸術」:
 • 「ダンス」

 • 「映画」
 • 「音楽」
 • 「演劇」
 • 「美術」

7. 学際的論文:
 • 「環境システムと社会」
 • 「文学とパフォーマンス」

 • 「ワールドスタディーズ」

 

かなり長いですが、この中で好きなものを一つ選ぶと言うわけではありません。

生徒は、みなさんが取得している6科目

その中でも HL のもの(おそらく3科目)から1科目を選択して執筆を進めます。

 

例えば、葉山の科目選択では

・日本語  ・English  ・Math AI

この三つをHLとして履修しているので、この中から選ぶようになります。

ちなみに葉山は英語も数学も能力的に無理ですし

何せ進路で比較文化学やら国文学専攻に進みたいと思っているので

日本語でEEを書いています。

 

特徴的な教科の分け方

 

日本語、つまり言語と文学なんですけど、

ここで一つ「グループ」という謎の括りが出現します。

なんぞやと思いますよね。葉山も当初は思いました。

 

言語と文学はみなさん取得する科目ですので、なんとなくイメージできると思うのですが

文学テクストの分析の仕方って、実はいろいろありまして。

例えばある本を一本縛りで探求したり(Paper 1型)

二つの文学作品を比較したり(Paper 2型)など、

実際の評価課題と重ねればわかりやすいと思います。

 

EEではあらかじめ、どの作品を、どんな分析方法で分析するのか示すための

グループ分けが存在しています。

 

簡潔に記述しておくと、

 

1. 論文の執筆言語で原書が書かれた文学作品1つまたは複数の研究

2. 論文の執筆言語で原書が書かれた文学作品1つまたは複数と、

    別の言語で原書が書かれた文学作品1つまたは複数の比較研究

3. 論文の執筆言語で原書が書かれたテクスト1つまたは複数に基づく言語の研究

 

ちょっと難しいので噛み砕いて説明します。

例えば葉山のバイブルこと宮沢賢治銀河鉄道の夜」で考えるなら、

1:宮沢賢治銀河鉄道の夜」における〇〇の探究

2:宮沢賢治銀河鉄道の夜」と英訳「The Night of the Milky Way Train」における

  表現方法の違い

3:宮沢賢治銀河鉄道の夜」と同作者「やまなし」における擬音語の使用法

 

って感じです。まぁここはフィーリングでなんとかなります。

葉山は言語学というより時代背景とか文化的側面を考えたかったので、

グループ1を選択しています。

 

言語選択

 

葉山の学校だけかもしれませんが。

葉山の学校は日本語話者と英語話者、二種類いるので

EEの執筆言語を日本語か英語か選ぶことができます。

葉山は日本語話者ですので当然のように日本語を選択しましたが、

仮に海外大学志望なら

EEの言語は英語にすることを強くお勧めします。

(というか科目選択自体英語のものが多いと思いますので必然的にそうなるのでは)

 

 

スケジュール概要

 

ここで気になるのが、EEを書くときのスケジュール。

1月から始まるEEですが最終提出は2月終盤。

なんだ、一年あるやん。

 

とか思わせないのがDPです。

やるなIBDP……(久しぶりに書いたこのフレーズ)

 

ではすでに一年経っている葉山が、ここまでどういうスケジュールで歩んできたか

ざっとご紹介いたしますと、

 

  • 1〜3月   テーマ決め、作品決め、基礎文献を軽く探す
  • 4〜6月   基礎文献探し、ある程度の論の構成を考える
  • 7月     第一回公式面談/テーマの確定
  • 8月     夏休み、文献調査
  • 9〜12月   本文の執筆
  • 12月     第二回公式面談/第一稿完成、推敲
  • 1月     第三回公式面談への準備(?)(実質何もしてない)
  • 2月     第三回公式面談/第二稿完成
  • 2月下旬   最終稿提出

 

こんな感じです。

わかっている限りの予定は薄字で書いています。もしかしたら随時変更かも。

 

葉山の学校では、第二回公式面談での本論確認、先生との推敲が許されていました。

というのも、普通EEは生徒が取り組むべきものなので、

例え引用参考文献の書き方であろうと、誤字であろうと

基本担当の先生が指摘・編集するのはNGです。

学問的誠実性に反するので。(確かガイドにそんなことが書いてあったような。)

 

そのため、第二回公式面談で誤字の指摘を受けることができること、

加えて本論の構成がわかりやすいかを聞くことができるのはかなり大きいです。

もちろん非公式面談でやるのもありではありなんですけど、

葉山の主観では非公式で誤字の指摘を受けるのは少しグレーな気がします。

もちろん論を書くときに考えをまとめるために話したい、は全然ありです。きっと。

 

だから葉山は第二回公式面談の一週間前まで序論しか書いていなくてですね、

「ヤベェこのままだと添削が貰えねぇべ」と焦りながら

三日で残りの文章を仕上げた記憶があります。

おかげで担当教員に「葉山これ急いで書いたろ、ほら誤字こんなにあるでニヤニヤ」と

今まで見たことのないくらいの笑みを浮かべられたのをよく覚えています。

 

余談ですが、去年の夏大学視察に行った時、たまたま元IB生の先輩から話を聞けたのですが、

「EEが終わらなくて〜(まだ資料を集めている段階)」と相談したところ

その先輩は満面の笑みで

「EEなんて机に向かって集中したら3時間で終わるから大丈夫ですよ」と言われたのを

いまだに憶えています。

先輩ほど頭が早く回らない葉山ですが、確かに必死に集中して文献揃えておいたら

これはすぐ終わりそうな予感が、と妙に納得しました。

要するに「課題は、はよやれ」ってことだと思います。はい。

 

文系と理系の違いを聞いてみた。

これを書きながら、葉山は文系と理系科目ってどう違うんだろう、と疑問に思いました。

ので、たまたまこれ書いているときに隣に座っていた

小説を一緒に書いていないけどそれなりに仲良くさせていただいている理系民ちゃんに

理系のIAってどーなん、って話を聞いてきました。(ちなみに彼女は生物で書いています)

文系と理系、それぞれの主観でまとめてみますね。

 

文系

文系のEEは、基本文献ベースです。

担当の先生が仰られていた言葉をそのまま引用すると

「日本語EEは文献持ってきて、そこに効果的な自分の意見付け加えられたら

万々歳だよねん。」ということです。すごくマイペースなお方です。

 

葉山はとある作家の三部作のうち二つを取り上げて分析をしているため、

若干内容はPaper 1/2 系に重なるところが多いです。

ただ、これらに使う資料って大抵本文からの考察、あるいは歴史的な背景ですが、

EEで使う歴史背景は調べて簡単にわかるもの、というより

もっと専門的な文献を見て、様々に組み合わせて論を展開するイメージ。

例えるなら、Paper 1/2は論を作るのに一枚の写真で十分だけど、

EEは論を作るのに複数の写真をコラージュして作り上げていく感覚。

 

ただ、その分文献集めや選択した文献の分析が難しいです。

葉山の使っている二作品は明治の作品にもかかわらず古語風に書かれているので

(これだけ言えば大抵の人は何を使って書いているか推測されそうですが……。)

DPで古典や古語の文法・単語を学習しない分、分析が大変でした。

というか向き合いたくない気持ちが勝ってしまいました。

ですがさすが文系と言いますか(自分で言うな)

古文ってフィーリングで読めますね。意外と、わかる。

なので自分で現代語訳ながらあまりの話の辛さに「んおおお」ってなってました。

 

文系でEEを書く人に伝えておきたいのは、

分析に用いるテクストは本当に丁寧に選んで欲しいこと と、

授業内の課題の二番煎じにならないような内容の構成を考えておくこと です。

とりあえず自分がどんな文学作品が好きか、何使おうかくらいは

ぼーっと考えておいた方がいいと思います。

葉山はそもそもその二作品に行き着くまで二ヶ月かかっていたので(汗)

最初から見通しが持てているとかなり得します。

 

理系

 

某隣の理系民によりますと、

生物は「自分の興味関心」をもとに実験計画を立てて研究するらしいです。

自分で実験計画を立てて(もちろん先行研究を参考にしますが)

実験して、データをまとめて、結果や実験の改善点について議論します。

 

IA(内部評価。生物は自ら研究方法を考えた上で実験レポートを書きます。)

の二番煎じになりかけることもあるそうですが、

やはりIAよりEEの方がレベルの高いものになる必要はあるみたいです。

葉山も生物SLでやってるのでIAをよく書くのですが、

例えばIAを「光合成」でやる場合、

pHを変えたら発生する酸素気泡量が変わったり、光量を変えたら、などなど

独立変数と従属変数が明確に分かります。

が、どうやら理系EEはそういうのじゃないらしい

ちょっとよくわからないので触れないでおきます。(おい)

 

ただ、文献を使うということは共通しているみたいです。

それはきっと文系と同じように多方面から様々な文献を収集して分析して

いろいろと証拠を持たせた上で論を進めていくんだと思います。

 

あと、理系ですし結果が出ます。これは個人的大きな差だな、と感じたところ。

ですが文系のように自分の意見を徒然と書くのではなく

予想していた結果が出ないことがかなり多いみたいです。

その結果がなぜ招かれたのか、どのように改善するか、文献を中心に議論します。

 

なお、隣の理系民曰く

 

「絶対培養系はやらないでください」とのこと。

 

「だって制御する変数多いし、条件を揃える機械が学校にないことだってあると思うし、

だからと言って外部連携するのはいろいろと長い時間と連携の手間がかかったりするし、

そもそも制御するのが難しいし、時間かかるし、てか時間足りないし、

足りないと言えば字数も足りないし、どう考えたって8000字で収まらないし(以下云々)

とにかく培養系はやめた方がいいと思います……ほんとに……。」

 

だそうです。

 

まとめ

ということで、今回はEEについて概要をまとめてみました。

EEは確かに強敵ですが、これを乗り越えれば実質DP1st yearは終わりですし

何より自分の好きなことをとことん突き詰めて書けるのは本当に楽しいです(主観)ので

みなさん頑張りましょう(まとまりのない発言)

 

ではでは〜