どうも葉山です。
文化祭が無事に終わり、いつもの日常が戻ってきました。
三連休、みなさまいかがお過ごしでしたか。
葉山はと言いますと、家族で近所のイルミ&花火大会を見にいきました。
秋だけど花火、されど夏を思わせる。素晴らしかったです。
さて今回は、タイトルにもありますようにTOKについてです。
葉山もよくわかっていないのでなんとなくまとめながら一緒に考えていきたいと思います。
以前どこかに書いた気はしますが、きっと感情論ばかりだったので
ガイドブックも使いながらまとめてみましょう。
TOKって?
TOKは略語なので正式名称に直してみます。
Theory Of Knowledge
つまり、知の理論です(だからなんだよ)
IBDPの中心科目として数えられる科目であり、ガイドブックによると
「知識の性質と知るプロセスを探究し振り返る機会を与える」授業だそうです。
またわからんことを持ってきやがってとか思います。
要するに何かというと、
知識を知識として認識するときにどんなプロセスを踏んでいるのかを細かく考えてみようという
哲学チックな授業となっています。
例えば、「りんご」を思い浮かべてみましょう。
🍎 🍏
↑大体こんなものを思い浮かべると思います。
このとき、私たちはりんごっぽいりんごとして「左側の赤いやつ」を思い浮かべますよね。
つまり私たちはりんごをりんごとして認識するまでに
「赤い」
「球体である」
「木にできるもの」
「果物」
「黄色い斑点がある」
などなど様々な情報を踏まえているわけです。
特に先程の事例だと、「赤い色」が「りんご」にかなり影響を与えていることがわかります。
こんな感じで、私たちは何を持ってりんごを「りんご」として認識するのか、
自分の持っている知識が何を持って作られているのかを見つめ直す、
これがTOKの授業となります。
ここで皆さんこう思いましたね、
意味わかんないやんそんなの。
そうです。実際りんごの例だって「りんごについて考えましょう」なんて問いがなければ
考えるどころか気にも留めることはありません。
それを気に掛けるきっかけを日常的に探すのも一苦労です。
ニュースや小さい頃の記憶を懸命に思い出して特定しなければなりません。
でもDPはこの点(問い)に関しては珍しく優しい。
TOKにはあらかじめ「知識に関する問い」というものが定義されています。
知識に関する問い
TOKのカリキュラムでは、既存の「知識」を主に4つの枠組みで考えることにしています。
それぞれあげてみますと、
- 範囲 テーマを区別するときに用いている基準って何?
- ものの見方 テーマを認識するときに使う視点は正しいものなのか?
- 方法とツール 視点や知識を取得するためのプロセスとは何か?
- 倫理 知識を得ることに責任は伴うのか?
こんな感じ。さらに意味がわかんない。
葉山もこれを書きながら意味がわからなくなりました(おい)
なので、ちょっと嗜好を変えて、隠し味を加えてみましょう。
隠し味は二種類あります。一個ずつ説明しますね。
1:テーマ
知識っていろいろな種類があるじゃないですか。
そして知識って、情報が自分の中に蓄積されたものじゃないですか。
そういう自分に関連するやつらを先に分類しておいてやったぜ、というのがテーマです。
TOKにはテーマが大きく分けて二種類あり、基本「知識と〇〇」形式で書かれています。
ですが葉山は、ぶっちゃけコアテーマは気にしなくていいと思っていますので
理由は後述しますね。
コアテーマ「知識と知る人」
TOKを進める上で根幹に置かなければならないテーマが「知識と知る人」です。
ガイドブックの文章を引用しますと、
コアテーマ(知識と知る人)は、知る人としての自分のものの見方は何によって形づくられているのか、自分の価値観がどこから来ているのか、自分は周囲の世界の意味をどのように見出し、その世界にどのように対応しているかを振り返る機会を生徒にもたらします。
だそうです。
わかりやすく噛み砕くと、
君のアイデンティティってなに?
君はなんで「それ」が好きなの? ってことです。
葉山の例で置き換えると、
ストレスが溜まった時に髪の毛を抜く癖が一年以上続いていて本気で心配している だとか
中三のとき病んで死にたかったのを刀剣乱舞に救われたから刀剣を愛している だとか
この夏寮にコオロギが大量発生したからコオロギがトラウマになった だとか
そんなことです。そんなことでいいんです。
もちろん「好きに理由なんてねぇよ!」というような某少女漫画のイケメンみたいな人も
中にはいると思います。ですが彼も、ヒロインを好きになったきっかけはあるはずです。
そーゆーのを突き詰めて、自分がそれを「知る」こと
あるいはそれらを「知識」として蓄えたことについて
先ほどの「知識に関する問い」を用いながら考えるのです。
葉山の日本刀の話を範囲の問いで考えてみるのなら、
(問いの中にもいろいろパターンがありますので今回は一つ適当に選びました)
「知識、信念、意見という 3 つの概念を区別するために、私たちはどのような規準を使うか。」
という問いに対して私は
知識→自分が持つ日本刀に関する情報。刀剣の制作過程や逸話など
信念→それらを守りたい、後世に伝えたいという思い
意見→守るために美術館での展覧会を企画しよう
というものをざっと考えてみました。
この意見をもとにキーワードである「知識」「信念」「意見」について
概念的にまとめてみると
知識:特定の事物や事象に対して自分が持っている情報の中で意味のあるもの
信念:知識に対して個人が抱く意志、考え
意見:意思や考えを具体的な形で、他者が理解できる形に落とし込んだもの
となります。
もちろんそれぞれのキーワードについて「俺はこう思うぜ!」というのもあると思います。
ですがTOKの場合、他者と自分の意見が違っていても
「筋が通っている/はっきりと主張する」ことができればそれが正解になります。
そのため、事細かに言葉の定義をすることがTOKの肝になります。
マジで、これは、葉山がずっとTOKにおいて重要だと考えていることです。
そんなこんなでTOKの最初の授業あたりでこのテーマを扱うのですが、
先例を見ても分かるようにこのテーマは
個人に焦点を当てたもの
という側面がかなり強いです。
そのため、コアテーマに重きをおいて調査を進めていくと
知識の方向性的にも問い的にも何を言いたいのかわかんなくなります(葉山談)
刀剣の話をしていたのに急に「アフリカにパンダを移住させたい」とか言い出したって意味不明です。
そのため、コアテーマはあくまで「自分のバイアスやアイデンティティを認識するための
フィルターの一部にすぎない」という認識を葉山は持っています。
知識を選ぶ範囲は選択テーマから持ってくればいいので
事物を選ぶときにどんなアイデンティティを反映させたか、
過去や経験がそれにどう繋がっているかということがちゃんと説明できるものを選んでいます。
だから意識はするけど「Mainly Use」ってタイプではないということです。
選択テーマ
TOKにはコアテーマのほかに5つの選択テーマが存在します。
- 知識と技術
- 知識と言語
- 知識と政治
- 知識と宗教
- 知識と土着の社会
カリキュラムではこのうち2つを選択して実際に授業を行います。
それぞれの選択テーマについて、コアテーマと繋がりを持たせながら
つまり、自身と選択テーマの繋がりを意識しながら分析します。
もちろんそれぞれのテーマに詳細な定義は書いてあって
それらに関係しそうな「知識に関する問い」も提示してあります。
が、ここで全てを書くのは手間がかかるのと学問的誠実性に反する可能性があるので
実際にガイドブックを閲覧することをお勧めします。
「TOK ガイドブック」なんて検索すると指導の手引きが出てくるので。
2:AOK
二つ目のスパイス、AOKこと Area of Knowledge です。
AOKという言葉、以前音楽の説明にて使用しましたのを覚えているでしょうか。
TOKでいうところのAOKとは、私たちが持つ知識を分類したものとなります。
先ほどの「知識に関する問い」は事物についての知識を分類していましたが、
「AOK」は事物そのものを分類するイメージです。
5つのAOK
IBOはこのAOKを5つに分類しています。
- 歴史
- 人間科学
- 自然科学
- 芸術
- 数学
例えばさっきから出演している「りんご」を例に挙げますと──
いやりんごって果物だからどれでもないやんけ!
「りんご」という事物をどのAOKに合わせるかというのは
自分が「知識に関する問い」と「りんご」をどのように関連つけたいかによって決定されます。
試しに、りんごを5つのAOKにおける知識に関する問いに対応するように頑張って分類すると、
歴史 :ニュートンはりんごが落ちた様子を見て重力を発見した
→全ての知識はある意味で歴史的だと言えるのか
人間科学:りんごって見ると「可愛い」と思うよね(?)
→人間科学の知識を追求するときに「観察者効果」の影響を排除することは可能か
自然科学:いや自分りんごにトラウマあるんで健康に良いとか言われても。
→科学は価値観に捉われないものなのか。
芸術 :りんごって聖書にとって禁断の果実だから単に美味しいものの比喩じゃないよね
→芸術は私たちの世界の解釈を変化させ得るのか
数学 :りんごって丸いけど、数学的に証明すれば球体ではないよね
→数学における推論は、科学または他のAOKにおける推論と異なるのか
みたいな感じでしょうか。かなり難しいです。
葉山が「難しい」と思ったように、事物を予め決めたあとから問いを決定するのは至難の業。
そのため、問いをざっと見ながら「この問い、この事物/知識で行けそう!」となるものを
用いて分析することをお勧めします。
さて、ここまでテーマとAOKについて説明してきましたが、
正直どっちも似たようなこと話していて
「意味わからん」です。
では、これをはっきり区別する方法ってなんだろうと考えてみた時
TOKの課題内容で分類することが一番手っ取り早いことに気付きましたので、
ついでにTOKの評価方法も説明してみようと思います。
TOKの評価概要
TOKには内部評価と外部評価が一つずつ存在しています。
それぞれの説明が欲しい人は、過去記事にまとめているのでそちらをどーぞ。
内部評価「TOK展示」
評価の1/3を占めるこの課題では
テーマ
に基づいて展示を作成します。なのでAOKは気にしません。
先ほどのTOKガイドブックに、35個のIAプロンプト、口述テーマが記載されており、
私たち生徒は、この中から1つ適当に選択して、これに関連する3つの事物を用意します。
実際のTOK展示例が動画になっていました。
ToK Exhibition Prompt 1: What counts as knowledge ? - YouTube
この人の場合、「What count as Knowledge?」日本語訳では(おそらく)
「私たちはどのようにして知識を得るのか」というプロンプト:口述テーマを元に
事物を用意して話をしています。これは、暗号ちっくなノート、ですかね。
この人のように、用意する事物は「自らに深く関わりのあるもの」が望ましいです。
考察するときに「選択テーマ」を踏まえて事物を選んでいくのですが、
この時自らに深く関わりのあるものを選んでおくと、
それだけで「自らのアイデンティティの形容」つまりコアテーマとの関連を話すことができます。
一石二鳥ってわけです。
例えばこれが、「日本刀:加州清光」など自身が作成していないものでも勿論OK。
葉山は加州がゲームの初期刀で個人的な思い出はかなりあるので、
個人の関わりがしっかり説明できる事物が望ましいと思います。
なお、このTOK展示は「第一年次」に終えることが強く推奨されています。
つまり、高校二年生の時に終えているわけなので、最終試験まで引きずりません。
↑この時言っていたのはそゆこと。
葉山の学校は確か12月実施だったと思います。
外部評価「TOKエッセイ」
評価2/3を占めるすんごい重要なこの課題は、
を用いて執筆します。そのため「知識と〇〇」は使いません。
この評価課題では、提出締め切り日の半年前に6つの問いがIBOから示されます。
この中から一つ選び、1600語(日本語なら3200字)で執筆します。
ちなみに、締め切りとはいつものパターンでみるなら2月〜3月となるみたいです。
実際に2023年5月に出題された問いを見てみると、
- 知識の生産には複製可能性が必要ですか? 2 つの知識分野を参照して議論します。
- 芸術家と自然科学者にとって、何が説明できるのか、何が説明できないのか、どちらがより重要ですか? 芸術と自然科学を参照して議論します。
- 私たちの知識の獲得が、一部の情報や声が排除された「バブル」の中で行われるかどうかは問題でしょうか? 2 つの知識分野を参照して議論します。
- 「これほど少ない知識が私たちにこれほど大きな力を与えてくれるというのは驚くべきことだ」(バートランド・ラッセル) ということに同意しますか? 自然科学と他の知識分野を参照して議論します。
- 視覚的表現は知識の伝達に常に役立ちますか? 人間科学と数学を参照して議論します。
- 私たちが生み出す知識は、私たちが使用する方法論によってどの程度決定されますか? 歴史や他の知識分野を参照して話し合います。
(参照:IB ToK Essay Titles and Topics: May 2023)
Google 翻訳を使って翻訳したため変な日本語になっていますが、こんな感じ。
例年のものを見てみると、大体1〜2個は先人の言葉に対する同意や否定について、
1〜2個は「知識」についてあとはその他枠、といったところでしょうか。
先にどのAOKを使え、と示されているのが厄介に感じますね。
TOKにおける「テーマ」と「AOK」の違いは、提出する課題のタイプの違い
と思っていただければなんとかなるかと思います。
おまけ:評価方法
もちろん、IBDPなのでTOKにも「ルーブリック」は存在します。
一応おさらいしておくと、
ルーブリックとは「〇〇が書けていれば満点!」みたいな感じで
評価を決定するための基準をまとめてくれているカンペみたいなものです。
ですが、TOKの評価は展示・エッセイともに
「非常に優れている」や「初歩的である」といった概要しか述べられておらず、
「自分の体験が書いてあれば6点あげるよ」なんてものは存在しません。
さすが最も面倒な教科なだけありますね。
そのため、これに関しては過去の高得点者と低得点者のサンプルを比較して
何を書くべきか自分で分析するしかないです。
正直葉山もよくわかっていません。
事物の選択については一つ、「自らとの関係性のあるものを持ってくる」のと
「それを効果的に説明する」ことが言えると思うのですが
なにせ「知識とは〜」みたいな哲学チックの話になるため
説明をしながら自分も「???」となること間違いなし。
これに関しては理解をする、という方向よりも「相違のない丁寧な説明」を意識して
定義をそれぞれの事物に準えていく形が一番いいのかなとか思っています。
説明としてはつまらないものとなりそうですが……。
まとめ
TOKって確かに面倒なところは多くあります。
ですが、考えのプロセスを遡ってみるということはとても面白いし
それで「うーん」って悩んでいる時間は、葉山にとってとても楽しいです。
ということで、今回はTOKについていろいろとまとめてみました。
ではまた。