IBDPについて:現役DP生の日常

不定期更新。国際バカロレアについて現役生がぶっちゃけます。

【IBDP】 English Bのテクスト:Brave New Worldの概要と世界線を理解しよう!

ども、葉山です。

意図もなくメンタルが崩壊したり数学のテストに打ちひしがれたりと

散々な毎日を送っております。

こういう時に大事なのはおそらく睡眠ですので、

数学のテストが終わったら全力で寝まくりたいと思います。

 

 

さて今回は、前回の続き。

hayamaibdip.hatenablog.com

前回の記事でBrave New Worldの概要を説明したので、

今回はその話の内容をなんとなーく説明していこうと思います。

世界線の理解や、大体の話の内容を抑える記事になれたら幸いです。

(話の全編を細かくまとめているわけではありません。

あくまで話の主軸をまとめているだけですので、

話の設定や細かい人物関係を探りたい場合は

前回の記事か、ちゃんとした「すばらしい新世界」を読んでください。)

では、いってみよー!

 

 

 

 

 

ある時代、ロンドン中央孵化センターで働いているバーナードは

α階級なのに間違えてβ階級の顔で生まれてしまったため、

ヘンリー・フォスターや所長からひどく嫌われていた。

そんなバーナードを好いていたのが、同じセンターで働くレニーナ・クラウン(β)。

彼女はとんでもなく美人で、センターの殆どの人物と体の関係を持っていたが、

唯一、美人の自分を見て顔を赤らめるバーナードをとても面白く思っていた。

 

ある日、レニーナはヘンリーとヘリコプターで街を飛びながらデートをする。

そこで二人は、最下層階級のイプシロンについて「可哀想だよねw」と話をする。

が、レニーナはそれにひどく嫌悪感を示していた。

ある日、バーナードと出かけた時にレニーナはその心情を吐露する。

というのも、「共産」というスローガンを掲げているこの社会において、

βだろうがεだろうが全ての人間が同じように社会に貢献しているらしい。

そして、レニーナも当然ながらその一人で、イプシロンと同じピースにすぎない。

それに涙していると、バーナードはレニーナに告げた。

「君は、自由になりたいと思わないのか。」

バーナードはこの世界に疑問を抱いていた。

睡眠学習にも、性の学習にも、階級差別にも、社会のあり方自体について。

とは言っても、二人は互いに理解者となるわけでもなく、

バーナードはレニーナを「デブ女」と思っていたし、

レニーナはバーナードを「面白ぇ男」くらいにしか思っていなかった。

 

時を同じくして、所長とヘンリーが動き出す。

バーナードを辞めさせよう大作戦。

「もしこの先、社会に対して不満を抱かないという規範に、キミが少しでも違反したという報告が私の耳に入ったら、アイスランドのような辺鄙なところにある孵化揺籃センターの下部組織に配置転換を命じることになるぞ。では、そんなことにならないように頑張りたまえ。」

しかし、バーナードはそんなに本気にこれを捉えていなかったため、

ベストフレンドことヘルムホルツにこの話を楽しげにする。

ヘルムホルツはバーナードの「こーいうとこだめなんだよな、こいつ」とか思いながら

その話を聞いていた。

 

バーナードとレニーナが蛮人保護地区に行く日がやってきた。

そこにはソーマや清潔な服などがあるわけではなく、レニーナは気分を害していた。

そこで二人は、ある女と男の子に出会う。

女の名前は、リンダ。そして男の子はリンダの子供、ジョン。

実はこのジョン、所長とリンダの子供である。

かつて所長がリンダ(β)と蛮人保護地区に旅行に来た際に、

謝って所長が置き去りにしてしまったらしい。

バーナードは「所長の弱み、見つけたぜひゃっほい」とほくそ笑む。

リンダも苦労していたようで、何せ蛮人保護地区では今までの常識が通用せず、

「何私の夫と寝てるのよ、この白痴者!」と怒られたりしていた。

また、βは通常労働をしないが、蛮人保護地区では機織りの仕事をしなければならず、

原住民の変な習慣や祭りにも慣れなければならない。

加えて、今まで現実逃避に使っていたソーマもない。相当精神的に参っていた。

その息子ジョンも、リンダの息子というだけでかなり糾弾を食らっており、

母親を抱くために家に来た知らない男からどこかに隔離されたり、

儀式中に置き去りにされて帰れなかったり、殴られたりしていた。

そんなある日、ジョンは男が置いていったシェークスピアに感銘を受けて言葉を学ぶ。

 

「僕はずっと独りだった。」ジョンがバーナードに話すと、

バーナードも「同じだぜ」と答えた。

二人はそこで意気投合し、バーナードはジョンに自分たちの世界の話をした。

暖かいシャワーに、美味しいご飯、見た目で判断はされるけど、と付け加えても

ジョンはその世界に目を輝かせた。

ジョンはバーナードの世界の話を聞いて、その世界をこう形容した。

すばらしい新世界O, Bravo New World.」と。

 

 

さて、センターに戻るとバーナードの前に所長とヘンリーが立ちはだかっていた。

「さぁてバーナード君、左遷を免れる言い訳を考えてきたかねふふふ」

という所長の前に、バーナードはリンダを召喚。

リ「あなたー会いたかったわよー!」

所「いや誰おま……(震)」

リ「あなたの子供もいるのよー」

ジ「お父さん、」

皆「おい聞いたか、所長をお父さんだってよ、」

所「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」

この世界では、妊娠や出産は禁忌とされているため、

所長は周囲の人々から笑い物にされてしまった。

所長はその場を走り去って、それ以降姿を見せることはなかった。

 

ジョンはあの所長を「お父さん」と呼んだ人として有名になった。

一方で、リンダは「母」と呼ぶのが禁忌とされる社会において誰にも興味を持たれなかった。

というか、そもそもデブで外見も悪かったため、誰も見にきたがらなかった。

リンダは精神疾患を患い、逃避のためにソーマを飲みすぎた結果、

オーバードーズ気味になり、二ヶ月の命と宣告されてしまった。

ジョンは「んなのソーマを飲みすぎるからだ!やめろ!」と医者に抗議するが、

医者は「ソーマを飲まなきゃ母さんは四六時中泣き叫びますけどね」と反論し、

渋々ジョンは医者の言い分を飲んでしまった。

 

一方、バーナードはジョンの後見人になったことで一躍有名人に。

もう外見で差別する人はおらず、女も地位もありったけの状態。

ただ、ヘルムホルツだけが「ちょっと悲しくなった」と呟いたので、

バーナードはしばらくヘルムホルツと話さないことにした。

バーナードはそれ以降、調子に乗って女史やその他職員を口説きまくっていた。

 

レニーナとジョンはある日、マッサージにいく。

ジョンはレニーナに恋心を募らせており、レニーナも同様だった。

ただ、レニーナは早く体を重ねたい一心でアプローチをするのに対し、

ジョンは騎士道的な、プラトニックな恋愛を所望していて、すれ違いを起こしてしまう。

 

そんなある日、バーナードはパーティにジョンを招待する。

ジョンに興味津々のお偉方が参列する中、パーティー直前にジョンはそれをボイコット。

結果、お偉方はバーナードに失望し、再び「不細工なやつ」という評価に戻ってしまった。

仲を悪くしていたヘルムホルツとは仲直りしたものの、

やはりバーナードはジョンへの恨みを募らせないわけにはいかなかった。

この話をヘルムホルツにすると、

なんとヘルムホルツも似たようないざこざを起こしていたらしい。

ヘルムホルツが書いた詩を、当局が検閲の結果処分したのだという。

その詩をジョンに見せたところ、バーナードが嫉妬するレベルで仲良くなってしまった。

代わりにジョンはシェークスピアの「ロミジュリ」を読み聞かせるが、

ヘルムホルツにはどうしてもお父様とお母様の政略結婚が理解できず、

というより馬鹿げてて面白かったので腹を抱えて笑ってしまった。

 

その頃、レニーナはジョンへの恋心に苛まれていた。

とうとう耐えられなかったレニーナはジョンの部屋に押しかける。

「ねぇあなた私のこと好きなんでしょ?」と問い詰めるレニーナに、

ジョンは「そうだよ。」と答える。

やっと両思い!拍手! とか思っているとレニーナはジョンを押し倒した。

結婚や一生添い遂げることが普通のジョンにとって、

急に自分との関係を求めてくるレニーナは、悪魔のように見えた。

ジョンは勢いでレニーナの下から出ると、レニーナの白い背に平手打ちをする。

急に豹変したジョンに恐怖を覚えながら、レニーナはやっとの思いで風呂場へと逃げ込む。

ちょうどその時、ジョンに一本の電話が入った。

内容を聞いたジョンは、さっさと支度をすると、勢いよく部屋から出て行った。

 

ジョンが向かったのは、終末医療センター。

なんと母:リンダが危篤状態らしい。

ここに運ばれた人は快適な状態で死ぬ、そんな説明などお構いなしに母親の元へ急いだ。

リンダはチューブから絶えずソーマが注入されている。

ジョンはリンダとの思い出に浸りながら、涙を流した。

すると、後ろからキャッキャと甲高い声が聞こえてきた。

そこにはたくさんの双子の子供がいて、リンダを凝視したり思う存分騒いだりしていた。

ジョンはそのうちの一人を殴り、「今すぐ出てけ!」と言うが、

なんとその子供たちは臨終時の条件付け講座のためにやってきたのだと言う。

婦長から警告を受けてしまったジョンは、怒りを必死に堪えながらリンダのそばにいた。

が、悪い思い出しか出てこない。リンダのことも、それを抱いたたくさんの醜悪も。

 

ふと、リンダが目を開けて、ジョンに視線を向け、名前を呼んだ。

それは、リンダの間男の名前だった。リンダは息子とそれを勘違いしていた。

と言うより、現実ではジョンがいることをわかっているのに、

ソーマのせいで自分は今間男との快楽に浸っているように錯覚しているのである。

死からの恐怖を逃れるために、悦楽に心を委ねているのである。

途端、リンダの息が苦しくなった。ジョンが婦長を大声で呼ぶが、

「子供たちが恐怖を覚えるからやめて」と一蹴されてしまう。

教育に悪いから、という理由でジョンは泣き叫ぶことすら許されなかった。

リンダは死んだ。ジョンはベッドのそばで泣き崩れた。

恐怖を感じないよう、エクレアを食べていた少年は、食べかけのエクレアでリンダを指し、

「死んだの?」と聞いた。

 

ジョンは部屋から出て、独り、労働者の群れの中にいた。

彼らはソーマの配給を求めて押し寄せていた。

周りの顔は皆そっくりだった、当然だろう、ボカノフスキィ法で作られた子なのだから。

この世界にはどれだけの人がいるんだ、ジョンはやっと恐怖を取り戻すが、

周囲の人はこう答えた。

「人生とはすばらしいものよ。勇敢なる新世界。偉大なる新世界。

O, Bravo New World.

もはや周囲はジョンに興味はなかった。ただ目の前の錠剤に手を伸ばしている。

その時、ジョンは悟った。リンダはソーマのせいで死んだのだ、と。

気付けばジョンは、労働者に渡されるはずのソーマを全て、窓から外へ投げ捨てていた。

 

バーナードとヘルムホルツはその話を聞き、センターに駆けつける。

バーナードは関わったら殺される、とたじろいだが、ヘルムホルツはジョンの元へ行き、

同じようにソーマを投げ、暴動を起こし殴りかかってくる労働者にパンチを食らわせた。

ソーマに、階級に、全てに縛られることから解放され、自由になるために。

しかしその暴動は、警官によって抑えられてしまう。

ソーマのガスを吸って興奮した労働者は新しく配給されたソーマを受け取り、

配給を阻害したとしてジョンとヘルムホルツ、および友人としてバーナードの三人は

パトカーに乗せられて連行されてしまった。

 

三人が連れてこられたのは、世界最高司令官:ムスタファ・モンドの面前だった。

ジョンはモンドに「この世界は嫌いか、」と問われ、はっきりと「嫌い」と答えた。

が、流石にそれもまずいので好きな音楽の話を付け加えると、

モンドはシェークスピアの一節を借りてそれに答えた。

モンドが犯した禁忌を罰する人がいないことをいいことに、彼は古書を読んでいた。

この世界に美しいものが存在すると、人々はそれに魅入られてしまう。

するとどうだろう、人々は労働をしなくなり、生産も消費もしなくなる。

だからこの世界ではそういった古いものを排除しなければならない。

だからヘルムホルツの詩も削除されるのだ、とモンドは告げた。

実際の幸福なんて、悲劇を克服するために成される極めて汚らしいものだ。だから、勿論社会を安定させる行為は社会不安を除去するための素晴らしい手段なんかではない。そして満足に至る道筋には不幸を覆い尽くすような素晴らしい戦いもなく、社会不安を起こそうとの誘惑とか、激情や疑念が引き起こす決定的社会不安に対する戦いは決して綺麗事では済まされないのだよ。人民の幸福は決して崇高な行いの結果に成し遂げられるものではない。

なんやかんや難しい話をして(すみません)

結局、三人は島流しの刑に遭うことが確定した。

それを必死に拒んだバーナードは別室送りにされ、

ヘルムホルツは行ってみたかった熱帯の島に流されることになった。

よく考えてみれば、逃げたいと思って、この社会から逃れられるだけマシなのである。

ただ、ソーマがなかったり、労働が必要だったり、苦しみとともに生きていくだけで、

この社会の仕組みが憎いものには、この上ない「素晴らしい新世界」なのである。

 

ジョンとモンドは二人きりの空間で「神」について議論を交わした。

人々はなぜそれを信じるのか、人はなぜ生きるのか、

便利さを追求する人間は、果たして本当に愚かなのだろうか。

様々な議論をした末に、ジョンは一つの結論を見つける。

「要するにだ、キミは不幸になる権利が欲しいのだな。歳をとり、醜くなり性的能力が失われるのは無論のこと、梅毒や癌になる権利も、食が細くなりシラミだらけになる権利、明日はどうなるか分からない不安の中で暮らす権利、腸チフスになる権利、あらゆる種類の筆舌に尽くしがたい苦痛を味わう権利が欲しいのだな。」

長い沈黙が続いた。蛮人ジョンが思い口を開く。

「全部引き受けたいと思います。」

 

三人が再び集って、それぞれ別れの言葉を交わした。

ジョンは当てもなくタクシーヘリに乗り、適当に見つけた灯台に住むことにした。

そこで美しい景色を見て、キリストのような磔の苦痛を味わったりして、

そうした苦しみを通じて神が作り上げた「素晴らしい新世界」を追体験した。

誰とも関わらない一人きりの文明的な灯台の中で、ジョンは弓矢を作り、

お湯を沸かし、慎ましく生活をしていた。

 

ある日、灯台の下で三人の男性がジョンを目撃した。

ジョンは習慣として自分自身に鞭打ちをしていて、その瞬間を男性が目撃したのだ。

ジョンの居場所がわかり、全世界がジョンに注目した。

翌日、テレビ局のレポーターがジョンを尋ね、インタビューをする。

が、「蛮人殿」に聞く質問はどれもおかしなもので、ジョンはレポーターに蹴りを喰らわせた。

同業者が尻を蹴られたにも関わらず、彼らは蛮人を面白く思い、取材が殺到した。

ヘリコプターでやってくる沢山の記者。それらに暴力を振るってしまうジョン。

攻撃を受けないよう、やがてヘリコプターは距離を取るようになり、取材も減った。

ジョンは日常生活を再び送ることができるようになった。

 

その傍らで、レニーナのことを思い出していた。

その煩悩を消し去るために、茨の上で転がり回って体を傷つけたり、

鞭で自分を打ち「戒め」ていた。

そしてその光景が、あるカメラマンによって捉えられてしまっていた。

彼はそれを72時間取材のドキュメンタリーとして上映し、ヨーロッパ中でヒットした。

次の日から、またジョンの周りにはヘリコプターが飛ぶようになった。

 

いつものように畑を耕していたジョンの周りに、カメラマンや記者が殺到する。

あちこちでフラッシュライトが焚かれる。

顔にガムを投げつけられ、「やめろ。」とジョンが喋ったことに喜んだ記者は、

口々に「鞭、鞭、鞭!」と叫び出した。

彼らはジョンの鞭打ちを見たがっていた。

その時、ヘリコプターから一人の女と一人の男が降りてきた。

その女を見て、ジョンは怒りをあらわにした。その肌、唇、眼。

全てに嫌気が差したジョンは、その女を鞭で殴りつけた。

女は共に来た男に、「ヘンリー、助けて、」と声を掛ける。

が、ジョンは鞭打ちをやめなかった。

鞭打ちを見たがっていた観客は喜び、輪になって歌い、踊った。

 

次の日の夜。昨日の一件が新聞で大きな話題になり、記者が灯台に押しかけた。

すると、そこには灯台のアーチ下に無力のままぶら下がっているジョンの姿があった。

足が右に揺れ、左に揺れ、南に、東に……

FIN.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや胸糞悪いですね

正直途中から全部書くか迷ったんですけど、書くことにしてみました。

最後に、この作品に出てきたシェークスピアの作品タイトル、

わかるものだけまとめときますね。

 

・悲劇:トロイラスとクレシダ

・喜劇:ヴェニスの商人

・悲劇:アントニークレオパトラ

・悲劇:リア王

・喜劇:夏の夜の夢

・悲劇:ロミオとジュリエット

・喜劇:テンペスト

 

このうち、タイトルの「すばらしい新世界」は

テンペストの「O, Bravo new world」というセリフが元になっています。

葉山はテンペスト大好きで長期休暇のたびに読み返すんですけど、

このセリフ、王家を追放されて父親以外の人を知らなかった娘が

沢山の人に出会い、王子に出会い、友と愛を知った時に

「この世界はなんて素晴らしいんでしょう。なんて美しいんでしょう。」

って感じのノリで話すんです。

なんとも皮肉めいていて面白いですね。

 

あとちゃんとまとめてないけど、特に16章と17章の話は、

話の内容とても面白かったです。普通に国語で使えるレベルの話でしたので、

興味のある方はそこだけでも読んでみてください。

 

 

意外と長文になってしまった、ごめんなさい。

では今回はこの辺で。