IBDP体験記 現役DP生が国際バカロレアを解説してみた

不定期更新。国際バカロレアについて現役生がぶっちゃけます。

【IBDP】 Japanese A の評価項目:IOA(個人口述)って? 高得点を取るコツは?

どうも葉山です。

今音楽の授業で作曲をしてるんですけど、

個人的にとてもお気に入りの作品が出来上がりました。

でもまだ音圧も雰囲気も足りない感じがしているので

ミックスこれから頑張るぞーという次第です。

ちなみに作曲ではないですが、小説の話とか葉山の学校生活の話を

今度ある場所でお話ししてくることになりました。

ありがたいことにそういう機会をいただくことができましたので……。

その話もまた後日しようと思います。

 

 

では今回は、表題の通り「IOA」について解説してみようと思います。

本当は先週くらいに個人口述の最終試験があったのですが、

それに合わせて葉山が記事をまとめてしまうと、

他の人の構成とか評価に差が出てしまうのでは(というより共謀作業になりかねない気がする)

ということで、一応葉山の同級生全員(少なくとも葉山のクラスは)のIOAが終了した

このタイミングで、IOAについて解説していこうと思います。

遅いよ、と同級生から文句が飛びそうな記事ですので

とてもビクビクしながら書いていますが、

なにせ可愛い後輩が「先輩〜IOA何すればいいのかわかんない〜!」と

葉山に聞いてきたものですから書かねばならないのです(使命感)

 

 

余談ですが、葉山は今回のIOAの自信が一番ないです。

質問の返しがうまくいかなかったのと、

もっと深い分析ができた(特に非文学テクスト)と思っているので

すごく悔しくてたまらなかったです。

それでも葉山はなんとかしゃべり切ったので、いい結果が残せていることを願って

今回こうして記事を書いているわけです。

何せ葉山の取り柄は喋る事しかないので……。

 

 

 

 

個人口述(IOA)ってなに?

 

個人口述試験(以下IOAと記述)は、その名の通り個人で行う口述試験です。

Japanese Aにおける「内部評価」となります。

hayamaibdip.hatenablog.com

 

Japanese Aには主に三種類(HLでは+HL小論文 なので四種類)の試験形式があり、

(詳細はこちらにまとめてあります……。)

hayamaibdip.hatenablog.com

 

この試験形式のうちの一つとなります。

 

ちなみに、普通の国バカロレア校では、内部評価は夏に実施されるのが殆どみたいです。

先輩方の体験談みたいなものをよく読むのですが、

2nd year の夏(11月試験の場合)が最も忙しくなるとどの記事も書かれていました。

理由は「内部評価課題の提出、EEの提出、加えてMock Examがあるので」とのこと。

ですが葉山の学校は、

なぜかEEの最終締め切りが2月ですし、

内部評価課題も冬に全部提出(地理も5月提出になったので残るは音楽のみですが、

葉山は作曲課題が半分片付いているので実質無しに近い)となっているので、

夏までにできることといえば、辛うじて続いているCASと

Mock Exam に向けて勉強すること、くらいなのかな。

冬に死に物狂いで沢山頑張ったおかげで、今、すごくのんびり復習に力を入れることができています。

後輩に話を聞いてみたところ、どうやら生物と数学の内部評価レポートは

11月〜12月に最終提出になるらしくて。

そのうち夏までに終わらせろとか言い出しそうで怖いですね。がんばれ後輩。

 

 

配点の割合

配点と時間ですが、 SL:30%, 15分 HL:20%, 15分

と、これまた時間は等しいですね。

SLは以上3つで配点が決まるので、全て30%超えの課題です。うーん。

【IBDP】日本語A ってどんな教科? 課題で高得点をとるコツは? - IBDPについて:現役DP生の日常

 

以前の記事を引っ張ってきてみました。

めっちゃ頑張ってもHLはあまり影響しなさそうに見えます。

が、Japanese A で「7」を取るためには、全ての評価課題で85%取らなければならないので、

なかなかに侮れません。

 

 

その他基礎情報

試験時間

 

試験時間は15分です。

試験を受ける人(葉山のような人たち)は、10分間の口述試験を行った後

5分間先生からの質疑応答が入ります。

 

ちなみにこの質疑応答は 加点式 です。

変な回答を口走ったとしても、最終スコアから減点されることはありません。

ですが、試験官(先生)は「葉山、ここ言ってねぇな」と思ったことを中心に

質問してくださるため、まともに答えた方が点数伸びます。

 

 

「文学テクスト」と「非文学テクスト」

 

IOAでは二種類のテクストを使って口述を行います。

それが、上記の二つ。文学テクストと、非文学テクストです。

 

文学テクスト

 

IOAで用いる文学テクストは、授業内で用いた作品を用います。

葉山の学校なら、「原民喜全詩集」とか「山月記」とかですね。

 

この中から、私たちは作品を40行以内(中略不可)で抜粋してIOAに用います。

「やったー40行なら楽勝だぜい」と思ったそこの君。甘いな。

特に長編作品を扱う場合、これらはもちろん40行以上の作品ですから、

抜粋として用いたい部分が見事に収まらなかったり、

中略して飛び飛びに選んだ方が話しやすいことがあります。

つまり、40行って意外と難しいんです。

わかりやすく例えると、駄菓子屋さんのお菓子を50円以内で買いなさいと言われた時に

細かいものを買っても大した量にならないし、

50円一個買ってもつまらないのでどうしようか、と悩む感じです。

 

そのため、文学テクストでは(非文学テクストでもそうですが)

作品体系 について言及する必要があります。

 

作品体系

 

作品体系とは、その作品が全体的に何を言っているのかを示すものです。

噛み砕いて説明すると、文学テクスト:長編作品なら主題のことです。

逆に短編作品だと、例えば詩集ならそれぞれの詩によって主張の方向性が異なるので

作者がどのような目線で作品を描いているのか、となります。

 

つまり、抜粋部分にかかわらず作品全体に言及できるわけです。

先程のような「あれも言いたいけど抜粋に入り切らねぇ!」となる場合は、

それを作品体系の一環として述べて仕舞えばいいのです。

要するに抜け道ってことですね。

ですが、だからと言って抜粋部分をまるっきり無視するのはよくないので、

あくまで抜粋部分に軸足を置きながら体系に手を出すくらいがちょうどいいです。

 

非文学テクスト

 

非文学、ですので文学じゃないテクストを持ってきます。

具体例を挙げてみますと、

  • 広告
  • 新聞記事
  • 社説
  • 意見コラム
  • 解説本
  • 映画

などです。

 

葉山の個人的な主観ですが、

意見コラムは信憑性がないのでやめた方がいいと思います。

信憑性というか、個人のバイアスによりがちなものなので。

逆にそれを逆手に取って喋るのもまた一つの手ではありますが。

 

また、解説本も作品体系は言いやすいと思いますが

(本全体で何を言っているか述べれば良いため)

全て読み切るのに時間がかかるので葉山はあまり好きではありません。

 

よって、葉山が特にお勧めするのは

「広告」です。

一つの企業が今までどのような広告を出しているのか見れば

共通点が作品体系として話すことができますし、

文章とビジュアルの 相乗効果 を話せば、分析の点数が上がりやすいです。

ただ、ビジュアル資料なので分析者本人が工夫に気づかなければ

分析の観点がだだ下がりになる可能性もある、非常にギブアンドテイクが大きいテクスト。

 

こそっと葉山の思ったことを書いておきますと、

Final IOAを終えた今、広告を分析する上で一番効果的そうな手法は

一回自分でそっくりそのまま書いてみる

です。

ビジュアル資料の分析で命となるのは構図とモチーフの選択だと葉山は思うので、

モチーフがどんな角度で描かれているのか、

光はどのあたりから来ているのか、

どの位置に何があるのか、なんてもの意識して適当に書いてみると、

意外と意図的に作られているんだな、という発見があると思います。

その気付きが、広告の主題とどのように関連するか見ればいいわけです。

葉山もそれをすればよかった、と今更後悔しているレベルなので

後輩の皆さんで広告をする人、ぜひ実施してみてください。

 

余談ですが、

ビジュアルと文章があればいいというわけでもないかなと思います。

実際、以前友人に「絵本ってありかな」という話をされたことがあるのですが、

絵本も文章とビジュアルの相乗効果で主題を伝えていますが、

文章的な側面が強いテクストかな、と葉山は思っています。

だって絵本って文学じゃないですか。

ということで、絵に限定する、という理由でも絵本を使うのは灰色かな、と。

 

 

注意点

 

ここで一つ注意したいのが、

IOAで用いた作品を他の評価課題に用いることはできない

ということ。

 

どういうことかというと、例えばIOAで「原民喜詩集」を扱ったとしたら、

Paper 2 (HLならHL小論文でも)で「原民喜詩集」を使うことはできません。

つまり、この文脈から察すると、

ある程度どの課題でどの作品を使うのか決めておく必要があるということ。

 

学校で扱うテクストの中には、うまく話すことができないテクストがあったり、

自分自身とても苦手な描写や得手不得手があったりすると思います。

そういうポイントも抑えながら、最終試験でどの作品を扱いたいのか、

授業を受けながら考えておくことを強くお勧めします。

 

 

 

こんな感じで、IOAでは二種類のテクストを用いて話をしていきます。

「ほな一体、何について話すんや?」といいますと、

 

 

グローバルな問題

 

これです。

通称「グロ問」と略されますが(SLのクラスではこう呼ばれているらしい)。

IOAでは、この「グローバルな問題」を中心に口述します。

逆にいえば、自らがIOAで話した内容がグローバルな問題と関連していないと、

そのぶん点数は低いです。

そのため、IOAでまず高得点を狙うなら、

 

グローバルな問題を明確にする

 

これは絶対に外せないポイントでしょう。

 

ですが、ここで一つ疑問が生まれます。

 

グローバルな問題はどう作ればいい?

 

グローバルな問題には、実は条件があります。三原則です。

  1. 広範な規模で重要性を持つ
  2. 国境を超えて存在する
  3. 地域の人々の生活に影響を及ぼす

 

例えば「少子高齢化」をグローバルな問題で扱うとしたら、

文学テクストを日本文学にした場合、

非文学テクストを日本の少子高齢化に関する広告にしてしまうと

どうしても「日本限定の問題」と捉えられる可能性が高いです。だって日本だもん。

そのため、日本人に限らず少子高齢化の話をする必要があります。

例えばドイツとか中国とか、この辺だと社説で書かれているものが多そうですね。

こんな感じで、

グローバルな問題を中心にテクストを選ぶ

のもありです。というかその方がやりやすいのでは。

 

それでもわからない時

 

そんな時は、探究領域を参考にするといいです。

音楽でも知識の領域、通称AOKが存在しましたが、Japanese Aにも存在します。

  1. 文化、アイデンティティ、コミュニティ
  2. 信念、価値観、教育
  3. 政治、権力、正義
  4. 芸術、創造性、想像力
  5. 科学、テクノロジー、環境

この5つと関連するグローバルな問題を立てると、やりやすいです。

 

ですが、これを使うときの注意点として

抽象的になりやすい

というものがあります。

例えばグローバルな問題を「アイデンティティ」にした場合、

沢山解釈ができるんですね。例をいくつか適当に作ってみると、

アイデンティティ「の不一致」

アイデンティティ「の形成に関わるネガティブな経験」

アイデンティティ「の欠落」

アイデンティティ「が周囲に及ぼす悪影響」

などなど。一言二言だけだと、グローバルな問題が何なのかはっきりしないのです。

こうなってしまうと、話している途中で論点が逸れやすくなりやすいです。

そのため、これ! と具体的に決めちゃっていいと思います。

ただ「日本の〜」とか「中高年の〜」くらいに限定しすぎると

三原則の一つ「広範な規模で重要性を持つ」に反してしまうので、

いい塩梅で設定することが重要かな、と思います。

 

ちなみに葉山のお気に入りはアイデンティティと信念系です。

数学や科学系には強くないですし、

政治や宗教は検閲が入りやすいので非文学テクストが見つけにくい。

あくまで葉山の主観ですが。

 

注意点

 

この注意点も、先程のテクストと同じです。

一度使ったグローバルな問題を再度使用することはできません。

 

ですが、これ、先程の「ある程度具体的に設定しておく」という観点を用いれば

解決することができます。

 

例えば、「アイデンティティクライシス」(自己認識の混乱)を

グローバルな問題として設定したとします。

世界中でアイデンティティの問題はあるわけですから、

一度グローバルな問題をアイデンティティクライシスにしてしまうと、

この問題に関連する全てのグローバルな問題が使えなくなります。

ですが、例えばこの時に設定する問題を

「他者と関わることで発生するアイデンティティクライシス」とかにしておくと、

例えば「経験によって生じるアイデンティティクライシス」とか

「瞑想(自己回想?)によって生じるアイデンティティクライシス」とか

アイデンティティクライシスが招く集団からの隔離」とか

言い換えて使うことができます。

卑怯かもしれませんが、

IBってこじつけですから。

こういうのだって、ありなんです。と先生が言ってました。

 

 

 

ということで、IOAについてよくわかってきたと思います。

グローバルな問いについて、文学テクストと非文学テクストからアプローチして

口述をするのが、IOAです。

 

では実際に、どんな感じで進めていけばいいのか、

葉山の実例をもとに紹介します。

 

 

葉山流IOAのやり方

 

抜粋部分を見つけよう

 

葉山は最終口述試験で使いたい文学テクストをあらかじめ決めていたので、

その作品をペラペラとめくりながら、この課題が使えそうだということを考えています。

この時役に立つのが、授業中に取ったメモ。

授業での議論で発見した気づきや表現方法は、案外グローバルな問題と関連しています。

とは言っても、作品の主題は大体タイトルや作品の雰囲気で察することができると思うので、

その描写が色濃く反映されているところを探して、抜粋します。

 

ちなみ葉山は前回の最終試験、適当に開いたページがとても良いシーンだったので

衝動的にその場面を話すことにしました。時々運も大事になるのかもしれない。

 

 

グローバルな問題を設定しよう

 

葉山は抜粋したいシーンからグローバルな問題を設定する方がやりやすいです。

正直なところ、順番はやる人の好みによって変えてもいいと思いますが、

葉山流なのでご了承ください。

 

大体の考え方の骨組みとしては、

  1. シーンに登場する、関連するキーワードを思い浮かべてみる
  2. その中で「課題」となるものを探す
  3. それがグローバルな問題になる

です。

キーワードが作中でどのように用いられているか、まで考えてみると

より具体的なグローバルな問題を作ることができます。

 

葉山の聖書こと「斜陽/太宰治」で例えてみると、

お母様が貴族として気高く生きている様子と堕落する息子との対比で

「信念」とか「時代」というキーワードを考えることができます。

この中で信念について考えてみると、

「時代が歪める信念のあり方」

なーんてグローバルな問題が完成しました。

こういう感じでグローバルな問題を作ります。

「信念」って探究領域の2番に合致するので、我ながらなかなかに良い問いができました。

 

 

非文学テクストを探す

 

先ほど見つけたグローバルな問題に関連しそうな非文学テクストを探してきます。

例えば広告なら、自らがやりたかったことを時代が歪めてしまったというところで、

「全国大会に出場できなくなったコロナ禍の学生が作った意見広告」とか。

社説なら「言論の自由」関連、もしくは紛争・戦争での情報統制とか。

AI先生に聞いてみたら「天動説と地動説の話ですかね」と言われました。

こんな感じで、グローバルな問題を一回ググッと抽象化させて、

いい感じの非文学テクストを見つけます。

 

アウトラインを作る

 

IOAには抜粋部分のテクストと、発表内容をまとめたアウトラインを持参できます。

アウトラインに箇条書き10個メモしたあと、試験本番の一週間前までに提出します。

 

アウトラインをもとに試験官(先生)も発表内容を先んじて理解しているため、

このアウトラインはわかりやすいものにすべきです。

葉山はよく「キーワード」だけまとめておいて、

それを繋げればうまく喋れるようなアウトライン作りを心がけています。

ですが、その文章を丸々読んでしまうと点数が低くなってしまうので、

長すぎない(1~2行くらい)アウトラインを作るのがベストです。

 

加えて、文学テクストと非文学テクストの分析量、

及び作品体系と抜粋部分の解説量のバランスは一定になることが望ましいです。

文学テクストはめちゃ説明しているのに、非文学テクストは説明していない場合、

構成の点数がかなり低くなります。

そのため、アウトラインを作る時からバランスを意識した作り方をすべきです。

 

学校でおすすめされていたアウトラインの箇条書き配分ですが、

  • 序論(グローバルな問題説明)×2
  • 本論(文学テクスト説明)×3
  • 本論(非文学テクスト説明)×3
  • 結論(まとめ、比較)×2

というふうになっていました。

ですが葉山には、3つのポイントでうまくバランスを取ることが難しかったので

  • 序論(グローバルな問題説明)×1
  • 本論(文学テクスト説明)×4
  • 本論(非文学テクスト説明)×4
  • 結論(まとめ、比較)×1

で作ってました。

加えて、それぞれのまとまりがわかるように、各ポイントの間に一行間を入れてました。

そのほうがパッと見た時わかりやすいからね。

 

こうみると序論結論が弱いように見えますが、

葉山は全てのポイントで二行丸々使ってた人間だったので、

実質20個のポイント使って話していたようなものです。

正直、グローバルな問題とテクストの関連性を述べればいい課題なので、

最後の結論は「結果こういう共通点と相違点がありましたー」だけ

いうことができれば、なんとかなります。

最悪足りなかったら試験官(先生)が最後に質問してくれるので、

そこは先生を信頼してました。

 

あとは10分に収まるように丁寧にしゃべるだけです。

うまくアウトラインを見ながら喋れるように

口述試験ですが、先生もメモを取るのに必死なので目線は気にしなくて良いです。)

喋りやすいアウトラインになるよう書き換えて提出します。

 

まとめ

 

ということで今回は、Japanese Aの内部評価こと

IOAについて解説してみました。

かなり思い入れのある課題なので、細かく解説できたと思います。

これを見て口述への苦手意識が減ってくれたら幸いです。

 

ではでは、良いGWをお過ごしください。