どうも葉山です。
先日ついに、我らがキタニタツヤが主題歌を務めている
映画「ゆきてかへらぬ」を見てきました。
ちょうど近所でやってたんですけど、この日いかなきゃ二度といけねぇ! という
強い使命感を持っていざ観戦。
本当は長文感想回でも書こうかなーって思ったんですけど
そこまで書く気力と時間がなかった(ただの言い訳)のでここで終結しておきます。
詩人と女優と小説家が出てくるだけあって言い回しがすごく詩的。
頭使って一つ一つの言葉を脳に叩き込むレベルで見入ってました。分析楽しかったです。
モチーフの使い方とか、色彩の使い方とかめちゃくちゃ雅だし乙だし、
ストーリーも、あの、広瀬すずの演技力がバグり散らかしてたので、
人間ここまでできるのか、と恐怖を感じるレベルのものを目の当たりにした気がします。
強いて後悔を書くなら、実話らしいので、もうちょっと背景知識持っていきたかったなー。
実話ネタバレを踏むというより、三人の生涯を Wiki で読んでたら
また一つ違う視点で楽しめたかなーって。実話故の乙です。
さて今回は 日本語A 課題解説最終回を務める Paper 2 (以下 P2 とします)解説回。
日本語 A をやってた時に同級生が最初に躓いた課題がこれだったんじゃないかな。
IOA は喋ったら翌年3月までには終わるのに対して、
P2 は模擬試験にも最終試験にも付き纏ってくる課題ですからね……。
(正直葉山の学校は P1 課題を本番形式らしいものでやったのが冬からだった気がする)
ではそんな P2 が一体どんな課題なのか、
そしてどうやって対策したか、いろいろとご紹介しようと思います。
日本語A Paper 2 って?
試験問題 2 は、4つの一般的な設問から成り、コースで学習した 2 つの文学作品について比較小論文を書きます。生徒は、これらの設問のうち 1 つのみに解答します。
小論文は、試験の条件にしたがって、以前に学習した作品を持ち込まずに書きます。選択した質問に関連づけ、学習した 2 つの作品を比較・対比します。
小論文の論点が選択した設問に関連しているか、またその設問に解答するために選択した作品が適切かという点が重要となります。
(指導の手引き より引用)
引用文が全て物語ってくれているんですけど、
要約すると、「みんなが今までやってきた作品を、所定課題に基づいて分析してやろう」
という課題です。
面白いことに、今まで学習した作品にも関わらず作品の持ち込み不可だったり、
問題が初見にも関わらず焦点を絞って適切な分析をしないといけないという。
初期の葉山はこのP2のことを
鬼畜課題
って呼んでました。だってそれだけの素質がこいつにはあるんだもん。
所定課題
先述したように、このP2では所定課題をもとにした分析をしなければなりません。
一回の P2 で通常提示される所定課題(問いの数)は 4 つです。
葉山は5つだと思ってたんですけど、存在しない記憶でした。
まぁ初見の割に選択肢が4つあるというだけで救いだと思った方がいいのかもしれない。
私たちは試験開始の合図と一緒に(正確には課題の印刷チェックの時に一瞬読めますが)
この4問とご対面することとなります。
この瞬間に試験に希望を見出すか、はたまた絶望するかが決まるわけです。
葉山は初めてP2をやった時に絶望を見出した人なので
思いっきり盛大なため息を心の中でついて書き出した記憶があります。
納得いかない文章にはなりましたが何とかやり切りました。
ちなみにため息はどうやら隣の席にも聞こえていたらしく、
試験終わったあと「お前詰んだやんw」と小馬鹿にされました。
でも結局8割取ったのでそいつには勝ったんですけどね。ふはは。
……しょ、初見?
初見詰みやんって思うじゃないですか。
そもそも「小論文」ってだけでも問いの方向性が論を作る上で重要になるのに、
しかもそれを「2作品」で? 「比較」すんの?
無理ゲーじゃんかよ!?
(正直な葉山の感想)
しかも作品持ち込みできないので、朧げな記憶で戦うしかない。
かなり本文からの証拠を持って来ることが難しい「鬼畜課題」なのです。
しかしここで優しいのが IBO 。
これまで散々痛めつけてきたドS IBO くん(怒られろ)ですが、
なんとここで慈悲の精神を見せつけてきました。
解答の中で該当作品について詳細に言及されているべきですが、作品からの引用を含むことは期待されていません。
(指導の手引き P.52)
ということで、なんと、
「本文引用はしなくていい!!」のです!!
(でも実際引用した方が分析評価されやすかったりするのは否めないかもしれない)
少なくとも指導の手引きでこう言ってるってことは、
本文を完全に引用して作品分析をしなくても良いということです。
ちょっとハードル下がりましたね。
本当に問いって「初見」なの?
??「そりゃ試験開始時にやっと見れるんだから初見だろ!」
そうです、問いは初見です。
ですが、あくまで問いの文章が初見なのであって
問いがこういう方向性で出されるというカテゴリは予測できます。実は。
じゃあそのカテゴリって何かという話なんですけど、
以前 IOA のテーマ決めでちょこっとご紹介した 日本語A の7柱です。
- アイデンティティー 登場人物、もしくは作者
- 文化 時代や集団が持ち得る慣習
- 創造性 個人或いは集団、作者の創造性
- コミュニケーション 登場人物内、筆者と読者
- 変換 現実から何を以てテクストに落とし込まれたのか
- 観点 作者や事象などの観点との関連性
- 表現 概念や態度をどのように表現しているか
【IBDP】日本語A ってどんな教科? 課題で高得点をとるコツは? - IBDP体験記 現役DP生が 国際バカロレア を解説してみた
HL小論文の項で紹介したこの7柱なんですけど、
基本的に P2 の問いはこの7柱に沿って聞かれるようになってます。
意外ですよね、文章にすると初見ぽくて悩ましいんですけど、
実際によく考えてみたらこの7柱に大抵の場合当てはまってます。
葉山は昔授業の一環で過去問の問いをカテゴリ別に分けたことがあるのですが、
ふとガイドを見た時にこの7柱で分けてみたら綺麗に分かれた
(もちろんベン図の中間みたいにテーマが重なってるものも一部ありますが)
のをよく覚えています。少なくとも外れ値はないです。基本的に。
ただちょっと、
具体的に絞りすぎてわかりにくい / 推測しにくい 問いがときたまあるだけで
(そりゃ作品によっては「作者の死生観」とかわかんないからね(カテゴリ:アイデンティティ))
その他基礎情報
P1 の時にも書いたのでついでに書きますが、
??「せんせー? 字数どのくらい書けばいいのー?」
P2 の場合だと
原稿用紙8枚
が目安です。
多いよね、すごく多いよね。
でも葉山は恒例のリミッター解除したところ12枚くらい書いてました
これは流石に蛇足ばかりなので評価低かったけど
あとサンプルもそれくらい書いてるので、目安程度に。
もう一点ついでに書いておくと、
IOA 然り HL 小論文然り、ここで使用する作品は
他の課題で使用する作品と被ってはいけません。
おまけにPaper 2 を模擬試験 / 最終試験まで使うのに対し
IOA と HL 小論文は3月4月、少なくとも模擬試験前には終わっているので
どの作品を P2 用に残しておくか、かなり真剣に考えた方がいいと思います。
ちなみに先日(卒業前ですが)後輩と面談した時に
「使う作品どうやって選びましたかー?」って聞かれたのでついでに書くんですけど、
基本 P2 に残しておいたのは長編小説でした。
話の流れも掴んでかけるし、主題が一貫しているのでブレない。
あとたまたま葉山の学校でやってたのが
戦争とか政治的な話がテーマになっている作品だったのもあって
比較的書きやすいかなーって思って P2 に残していました。
というか全ての課題形式に対して使いやすいと思われる作品は
P2 に残しておくのが一番いいのかなって思ってます。
あとはHL 小論文、これは課題的にしっかり調査できるので
論文とか背景調査とかが十分にできそうな作品をお勧めします。
さっきの P2 作品ももちろんこれになるんですけど、
どれを残すか、皆さんと作品の相性で考えれてもらえればいいなーって思います。
そして IOA はその残りかつ抜粋がしやすいものを選ぶ。
残り物からできそうなのを選んだ記憶があります。
特にこの時期から、模擬試験に向けて作品の選定をした上で練習した方が
きっと本番を迎える上で一番いいのかなって思うので
ご参考までに。
ではある程度 P2 の理解が深まったところで、
葉山の対策法
ここからは葉山が一体どんな感じで対策をしたのかご紹介します。
1:作品を読み込む
結論これが一番強いです。
作品って何度も何度も味が出て美味しいんですよ。昆布みたいな感じ。
だからこそ、いろんな視点から作品を見た時に
「ここ印象深いなー」「ここ好きだなー」という場所を見つけやすいのかなって思います。
そういうのに付箋貼ってみたり、ノートに書き出してみたり
(+α で「なぜそう思ったか?」「どんなところが使えそうか?」
「関連する概念は?」とかもまとめておくと、ちょっとだけ賢くなれます)
ついでにもうちょっと書くと、
人間土壇場で思い出すのは強烈な記憶なので、
それを一作品でどれだけ作るか? というのが鍵なのかなって思ってます。
ので葉山は葉山のオタク精神をフル回転して、
各作品一人は推しを作ってその人中心の関係性と、主人公の立ち回りを意識して読んでました。
しかし先述した通り、葉山が扱ってきた作品は政治や戦争がよく絡んでいるので
決まって推しが死ぬんですよね、パシフィックとかアヌーシュ叔父とか鳳霞とか……。
(左から「ちいさな国で」「ペルセポリス」「活きる」)
唯一生きてるのなんて「若紫」ですよ、源氏物語の癒し枠。
むしろ死んだおかげで強烈な記憶になってる部分もあるのかもしれないけどさ、
2:7柱に照らし合わせてみる
先述の通りP2の問いは7柱で出来ていると言っても過言ではないです。
ので、使おうと思っている作品を使って、
7柱それぞれの観点を用いながら作品のポイントを整理してみます。
これがあると概念的な問いがきたと時に
語義をちゃんと整えておけば簡単に書けるようになります。
語義を整えれば、なので
難しい言葉とかよく分からない……ではなく、似通っている概念が出てきた時に
語義をちゃんと示しておく必要がありますが
それなりに使えるアイデアとして取っておけます。
3:過去問でちょこっと書いてみる
あとはひたすら実践です。
過去問使って、実際の問いに照らし合わせて書いてみます。
これも原稿用紙8枚書くとちょー労力使うのと時間が足りないので、
論で最も書きたい(書かなくてはいけない)焦点のみを書き出すようにしていました。
ちなみにここで絶対に押さえておきたいのは
- 問いの解釈
- 作品概要
- 作品①と問い関係で言いたいこと
- 作品②と問い関係で言いたいこと
- 共通点
- 相違点
- 結論
です。
特に作品概要はテンプレ化すればすぐ書けるようになるので、
ある程度「こういう文でいい」というのを練習で作っておくと吉。
慣れてくると、考えなくても反射で書けるようになってくるので
それ書いてる間、他のこと(例えば作品①と②で書きたいことのリマインド)ができるので
少々気が楽になります。お勧め。
これを表に直したりなんなりして、システム化して量産してました。
コンパクトにすると空き時間にできるのでお勧めです。
葉山は器楽の合奏に呼ばれた時、倉庫でひたすらこれをやってました。
通常は2時間かかるP2ですが、合奏の待ち時間20分で5問くらい消化できます。
圧倒的タイパがいいです。最高です。
ちなみに原稿用紙8枚の話が出たので
葉山が実際どのくらいの枚数割合で書いていたのかをご紹介すると
- 問いの解釈×0.7 - 0.8
- 作品概要×0.4
- 作品①と問い関係で言いたいこと×1.2
- 作品②と問い関係で言いたいこと×1.2
- 共通点×2
- 相違点×2
- 結論×0.3 - 0.4
でした。ほぼ枚数というより、段落数で考えていた節も否めないけど、大体こんな感じ。
葉山はずっと「作品と問い関係」で言ってることと「共通 / 相違」で言ってることが
同じになってしまうことが悩みだったのですが、
作品と〜 はどちらかというと作品と問いそのもの、
共通相違はどちらかというと「それが生まれた原因」(≒ ほぼ主題との相関)寄りで
書くという方針をとって解決しました。
作品理解と作者の選択について言及できるのはもちろん、二番煎じも防げるので
個人的にかなり好きな書き方です。お勧め。
あと葉山の学校の後輩の人は
実は葉山が作った P2 問い量産機を国語教員に託してきたので
少しは練習が楽になると思います。
先生が「これで授業楽になる〜♪」とすごくルンルンしてましたが
あの人相当な激務を毎日こなしてるので
これで休んでくれるなら葉山としては万々歳です。もちろん皆さんもちょっとは休め。
まとめ
ということで今回は DP 課題解説最終回として
日本語A P2 について解説してみました。
葉山もそれなりに苦労していろいろ試して見つけたことなので
IBOに合ってるかどうかは分かりませんが、
それでも、少しでも助けになれたら幸いです。
さて、これにてIBDP 現役生ブログをしばらく締めようと思います。
結局8000アクセスに近しくなったところで止めようと思ってたのですが、
実は今(2025/03/14 13:22時点)で7990アクセスなので
もう8000行きますね。
一昨年の1月、葉山が高校生の冬から始めたこのブログですが
初めて一年はまだ100アクセスすらいかず、1日に1アクセス来ただけで
毎日が飛び上がっていたものですが、
今では毎日10アクセスは超え、感謝報告も1000刻みにするという
国際バカロレア解説ブログというより、葉山個人がとてもありがたい境遇にいるのだと
感じております。へへ。
当初このブログを作った時、
現役生ならではの視点で国際バカロレアの課題を解説してほしいと葉山自身思っていて、
(他のブログは海外大学とか受験の話を中心にしていたため、
課題の進め方や国内大学のことを知りたい葉山には情報が少なすぎた)
葉山の悩みを解決しながら、これから国際バカロレアを始めるみなさん、
特に葉山の後輩がよく見てくれるようになって。
それきっかけで仲良くなった後輩さえいるような気がするレベルで知れ渡っている。
もちろん現役生が今までブログやってるっていうのは前例なくて、
(ちなみに活動して何故かというのはなんとなく分かりました。
課外活動や科目解説の内容から同級生や後輩が葉山の正体を特定するためです。
それがきっかけで同級生から謎のトラブルをふっかけられることもありましたが……苦笑)
だからこそ、自分が好きなこととか知りたいことを
この記事を言い訳にして IBDP をより深く知ることができるようになったかなーと思います。
まだまだ IBDP のことは考えたり相談に乗ったりはしたいので、
後輩とか読者の人はコメント等々使って連絡してくれると飛んで喜びます。
あと大学生になったので!!
社会に出たので!!
案件も待ってます!!!!!(おい)
んで新しい葉山がどこに生息するのかはまだ不明です。
一ヶ月に一回何かを探求するプロジェクトをしたいなーとは思ってるんですけど、
それと小説もやりたくて……。
てか今一本TRPGを書いてます。やっとNPC情報終わったので本編執筆始めてます。
楽しいです。やっぱり文章は世界を救う。
プラットフォームとアカウント設立したら再度お知らせします。
では、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。
以上、とある離島の高校でIBDPをやっていた元高校生:葉山がお届けしました。